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2017年10月18日(水)

注目の記事 [改定速報] 療養病棟のデータ提出項目、厚労省が見直し案 入院分科会1

診療報酬調査専門組織・入院医療等の調査・評価分科会(平成29年度第10回 10/18)《厚生労働省》
発信元:厚生労働省 保険局 医療課   カテゴリ: 30年度同時改定 診療報酬 医療提供体制
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今回のポイント

●厚生労働省は10月18日の入院医療等の調査・評価分科会に、療養病棟を対象にしたデータ提出項目の見直し案を提示
○現行の提出項目のうち、急性期入院患者の診療内容に関する項目の提出を不要とする一方、慢性期入院患者の特徴的な症状・状態、介護との連携に関連する項目を追加する内容
○このほか【救急医療管理加算】は、救急現場の評価指標を使って算定対象患者の実態を分析、【短期滞在手術等基本料3】の対象手術追加-が提案され、大筋了承



 厚生労働省は10月18日の入院医療等の調査・評価分科会に、療養病棟を対象にしたデータ提出項目の見直し案を提示した。現行の提出項目のうち、急性期入院患者の診療内容に関する項目の提出を不要とする一方、慢性期入院患者の特徴的な症状・状態、介護との連携に関連する項目を追加する内容。委員からは急性期から慢性期、介護に至るまでの患者の流れを分析する観点から、急性期病棟の項目と整合を持たせる必要があるなど、項目の精査を求める意見が相次ぎ、引き続き検討を進めることとなった。
 
 診療報酬の【データ提出加算】を算定する病棟は、DPCデータの提出が求められ、【7対1、10対1入院基本料】や【地域包括ケア病棟入院料】の算定病棟は、入院料を算定するための要件に定められている(10対1病棟は一般病床200床以上の場合に限定)(参照)。療養病棟も【データ提出加算】の算定対象病棟だが要件化はされておらず、実際に加算を算定してデータを提出しているのは、療養病床全体の約25%にとどまっているのが現状(参照)。そのため分科会の中間とりまとめでは、療養病棟の特性を踏まえた項目の合理化や追加を行う方針が打ち出されていた(参照)
 
 
◆急性期関連の項目を省き、慢性期患者の症状・状態、要介護度などを追加
 
 厚労省がこの日示したのは提出データのうち、様式1(簡易診療録情報)の見直し案。療養病棟の入院患者の医療区分や、要介護認定の主治医意見書の該当項目の分析、入院患者のタイムスタディ調査などの結果を踏まえて、患者の特徴に合った項目を洗い出した。
 具体的には、様式1の記載項目のうち、▽手術日▽TNM分類▽化学療法有無▽各疾患の重症度分類(脳卒中、心疾患、肺炎、狭心症、急性心筋梗塞、急性膵炎、熱傷)-など、急性期入院患者の診療内容に関するものは、提出不要とすることを提案(参照)。一方、慢性期病棟独自の項目として、▽脱水▽摂食・嚥下機能低下▽認知症の周辺症状▽発熱▽低栄養▽褥瘡▽疼痛の訴え▽要介護度-などを追加する考えを示した。症状・状態の有無は月ごとの入力、要介護度(認定のある場合のみ)は入退院時の入力を想定している(参照)
 
 提案を受けての議論で、神野正博委員(社会医療法人財団董仙会理事長)は、急性期病棟と違う項目にすると急性期から慢性期までの患者の流れを追うことができなくなると懸念。「急性期との整合性と慢性期で必要なものという視点で項目を精査しなければならない」と述べた。池端幸彦委員(医療法人池慶会理事長)もこれに同調し、「(急性期の項目は)任意項目とするだけで外す必要はないのではないか。脱水や電解質異常で急性期から来る患者がいるので、急性期には逆にこれらの項目を任意で追加してはどうか」と提案した。
 この日は、EFファイル(入院・外来の出来高点数情報)項目の見直し案は示されなかったが、藤森研司委員(東北大学大学院医学系研究科・公共健康医学講座・医療管理学分野教授)は医療機関側の事務負担について、「フルセットのEFファイルを作る負担のほうが大きいのではないか」と指摘。池端委員も、「EFファイルを一緒に出せというのはかなりの負担。年単位の経過措置が必要だろう」との認識を示した。
 
 
◆救急医療管理加算の対象患者の分析と短期滞在手術等基本料の対象追加を了承
 
 このほか【救急医療管理加算】と【短期滞在手術等基本料3】についても、見直し案や今後の検討の方向性が示された。【救急医療管理加算】は、医療機関によって算定状況にばらつきがあることなどから、▽緊急の止血処置の有無▽動脈血酸素分圧▽収縮期血圧の低下-など現場で実際に使用されている評価指標を使って算定対象患者の実態を分析することを提案(参照)。【短期滞在手術等基本料3】に関しては、▽副腎静脈サンプリング▽子宮鏡下子宮内膜焼灼術▽子宮鏡下有茎粘膜下筋腫切出術▽子宮内膜ポリープ切除術-の追加を提案、両案とも大筋で了承された(参照)
 
 なお、武藤正樹分科会長(国際医療福祉大学大学院教授)は、急性期病棟における「重症度、医療・看護必要度」とDPCデータ(EFファイル)の相関について、分析にあたっての留意点を委員に示し、理解を求めた。今回の分析は、急性期の入院患者の医療・看護の必要性や重症度を診療報酬に反映させる手法として、評価項目・指標、測定方法、合理性などの観点から妥当であるかどうかの検討を目的に行うものだと明記。仮に診療報酬に活用できるとの結論に至った場合は、「その条件や現場への影響等について、予測されることは何か等に留意する」とした(参照)

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