[改定速報] 複数医師による訪問診療の評価を提案 中医協・総会で厚労省
今回のポイント
●厚生労働省は11月10日の中央社会保険医療協議会・総会に、患者1人に対して複数の医療機関の医師が訪問診療を行った場合の対応について、【在宅患者訪問診療料】などを1人目の医師しか算定できない現在の取り扱いを改め、2人目以降の医師の診療報酬上の評価を新たに設定することを提案○看取りでは、「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」を参考に行われる医療の提供方針の決定プロセスの診療報酬上の位置づけや、在宅療養患者本人や家族の意向で主治医と病院が連携し、入院で最期を看取った際の評価の検討を要求
○併設有料老人ホームの入居者などに対する訪問診療については、これら患者への医学管理に対する評価の新設を提案した
厚生労働省は11月10日の中央社会保険医療協議会・総会に、患者1人に対して複数の医療機関の医師が訪問診療を行った場合の対応について、【在宅患者訪問診療料】などを1人目の医師しか算定できない現在の取り扱いを改め、2人目以降の医師の診療報酬上の評価を新たに設定することを提案した。日本医師会などが要望していた内容で、支払側委員も方向性は了承したが、一定のルールを設けて対象を限定するべきだと主張した。
【在宅患者訪問診療料】や【在宅時医学総合管理料】などを算定する医療機関は原則、患者1人に対して1施設に制限され、先に算定している医療機関がある場合は、別の医療機関の医師が訪問診療を行ってもこれら報酬を算定することはできない。算定医療機関の多くは内科だが、日医は眼科や耳鼻科といった専門診療科の訪問診療や、皮膚科による褥瘡の処置などを必要とする在宅高齢患者もいるとして、複数診療科の医師による訪問診療の評価を求めていた(参照)。
こうした声を受け、厚労省は患者と家族の同意があることを前提に、主として在宅医療を担っている医師からの依頼で、別の医師が訪問診療を行う場合の診療報酬上の評価を設けることを提案。2025年に向けて増加し続ける在宅高齢患者を在宅療養支援診療所(在支診)だけで支えるのは困難なことから、在宅医療を提供する在支診以外の医療機関が地域医師会などの協力の下、他の医療機関と連携して24時間対応の在宅医療提供体制を整え、訪問診療を実施している場合の評価を検討することも、論点に位置づけた(参照)。
一方、【往診料】は、患者の求めに応じて患者宅に出向き、診療を行った場合に算定することが原則となっている。だが、「患者の求め」の解釈に幅があり、患者側が不要の意思表示をしない限りは、患者の状態に関わらず医師が往診をする、訪問サービスも存在する。こうした不適切事例を是正するため、往診の要件を明確化することや、現在は急性心筋梗塞、脳血管障害、急性腹症などが予想される場合に算定が限定されている、【緊急加算】の対象患者の要件見直しが検討課題にあがった(参照)。
このほか看取りや、医療機関に併設された介護施設入居者への訪問診療、医療機関とケアマネジャーの連携が議題となった。看取りに関しては、一般国民だけでなく医療従事者の認知度も低い、「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン(GL)」が広く浸透するよう、GLを参考に行われる医療の提供方針の決定プロセスについて、診療報酬上の位置づけを検討することを提案した。多様な看取りを実現するため、在宅療養患者本人や家族の意向で主治医と病院が連携し、入院で最期を看取った際の評価の検討も促した(参照)。
死亡の1~2カ月前に状態が急激に悪化する末期の悪性腫瘍の在宅患者については、状態の変化に合わせて必要なサービスが速やかに提供できるよう、医療機関とケアマネジャーとの間の情報共有と連携を【在宅時医学総合管理料】の要件にする案を示した(参照)。
併設有料老人ホームの入居者などに対する訪問診療については、これら患者への医学管理に対する評価の新設を提案。2018年4月に創設される介護医療院の入所者への医療提供にも触れ、入所者の状態や医療ニーズを踏まえつつ、介護療養型医療施設や介護老人保健施設での取り扱いを参考に、医療保険と介護保険の給付調整のあり方を整理する方針を示した(参照)。
また薬剤師による在宅薬剤管理では、無菌製剤のように積極的な対応が必要な在宅薬剤管理を一層推進する方策として、専門的な技術が必要な在宅薬剤管理の実績や地域の薬局への支援などに着目した評価の導入や、小児に対する在宅薬剤管理の評価を検討する方向を打ち出した(参照)。
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